お顔がない人形で、想像力が育つ
赤ちゃん人形は、テルテル坊主のようなお人形です。お顔はあるような、ないような。のっぺらぼうでちょっと怖いみたい。
でも、子どもたちはこのお人形が大好きです。
「どうしてお顔がないんですか?」と、大人にはよく聞かれます。
このお人形が、なぜ「子どもの想像力を育てる」と言われるのかについて、お話します。
お顔がないのは無表情?
子どもはお人形大好きですね。お洋服を変えたり、ミルクをあげたりおむつを替えたり、お世話に大忙しです。
パパやママのことが大好きだから、同じことがしたいんです。
でも、いつも微笑んでいるお人形のお顔からは、幸せで満足した状態以外を想像できません。
子どもが一番大好きなシチュエーションは「お熱が出ちゃった!」「泣いてるから抱っこしなきゃ!」なのに。
赤ちゃん人形には、「想像の余地」がたっぷりあります。病気にもなるし、ぐずるし、かと思うと急に機嫌が直って笑い声をあげることもできるのが、「想像の余地」です。
子どもの心の中で、お人形は笑ったり泣いたり怒ったり、自由な表情をしていることでしょう。そのたびに、その子の想像力や内側に広がる世界は豊かに耕されていきます。
無表情だなんて、誤解です!
ところで、無表情のことを「能面のよう」といいますが、赤ちゃん人形に通じるものがありますね。
その表情は、微笑むようでもあり、また悲しげでもあり、見る人によって変わる曖昧さがある。演者が面をつけ、舞台上で役を演じ動けば、ほんの少し面の角度を上げ下げするだけで、晴れやかに見えたり、沈んで見えたりと、豊かな表情が現れる。
能楽協会HPより
「無表情」を「能面のような」とたとえるのはまったくの誤用!と若干オコでした笑
大変失礼しました笑
能面も赤ちゃん人形も、実はとっても表情豊かなのね!
それを感じ取れるセンス、すてきだね。
閑話休題。
「顔がないですね」と不思議がるのは、大人だけ。赤ちゃん人形は、子どもにとっては十分、表情豊かな存在なのでしょう。子どもたちからは質問されたことはありません。
彼らの新鮮な瞳には、この世界も、私たち大人とは全く違うように見えているのかもしれませんね。
赤ちゃん人形は、子どもの内側の世界を守り、想像力を豊かに育てます。
その子の中に存在する伸び行く力を信じて、手出しをしたくなってもじっと我慢して、見守ってみませんか。
シュタイナーの赤ちゃん人形は、子どもたち一人一人のかけがえのない命に宿ったかけがえのない力を伸ばすお友達なのです。
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